鹿月舎

ろくがつしゃ  rokugatsu-sha【鹿月舎】

辺境の地にある「鹿鳴館サロン」に集う異端のマニアたちの吐息を出版する。主な作品は小説であり、ドキュメントであり、エッセイであり、性の研究論文であるが、しかし、それだけではない。

イラストであり、絵画であり、朗読であり、朗読劇であり、写真であり、少しばかりの映像であり、そして、対話もある。

これはビジネスであるが同時にムーブメントである。

世の中に居場所を見失い。性の迷子となり、辿り着いたマニア世界でも、なお、疎まれ、蔑まれ、排除されて辺境に追い込まれたものたちによる、新しい発信の場所がこの出版社なのである。

ゆえに、この出版には、面倒な手続きが多くなくてはならない。ここは誰もが気楽に立ち寄れる場所であってはならないのだ。たくさんの決まりごとが必要なのだ。それが辺境で上手くやって行くコツというものなのだ。

さて、その手続きで、もっとも重要なことをここに表記しておこう。

「鹿月舎の作品は、辺境の地、鹿鳴館サロンに出入りしないところの、どんな作家によっても作られることはない」

つまり、鹿月舎の作品の作家には、それが小説だろうと朗読だろうとイラストだろうと、鹿鳴館サロンに行けば、そこで会う可能性のある人によって作られるということなのだ。

ただ、勘違いしてもらっては困る。作られるのであって、作られた後のことまでは、鹿月舎は知らない。そりゃ、こんな集いなのだ。作った後で仲違いすることもあれば、作った後で行方不明になるものもあろう。そうした出版社なのだ、鹿月舎とは。


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