畳の部屋にて女を懲らしめるのに使用する緊縛。責めの残酷さだけで考えるなら石床の上がいいのだが、それだと女がかんたんに気を失い、かえって楽をさせることになる。 畳の上でこの縛りをし、鞭打つことによって、女は何度もころび、ころんでは起こす。打ち身による痛みよりも、ころんだときの縄による痛みのほうが大きく、それによって女は、今、まさに自分が拷問を受けているのだと知ることになる。苦痛はときとしてやわらかいほど残酷なものなのだ。
恐怖でした。上手にころべば床に頭を打ったりしないと分かっていましたが、それでも、ただ、ただ恐怖でした。軸となった足はもちろん時間が経つと拘束されて上げられたほうの足もしびれてきます。嫌な汗で筋肉の激しい緊張とは別に身体が冷たくなって行くかのようでした。緊縛というものには快楽がともなうものだという私の概念は全て覆されました。 この緊縛にはいっさいの快感がなく、ただ、恐怖と苦痛、それだけがありました。
出典『鹿鳴館緊縛図鑑』鹿鳴館編集部 鹿鳴館出版局
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